「盆栽/木々の私生活」 アレハンドロ・サンブラ
松本健二 訳 白水社 2013
この夏、サンパウロに滞在しておられた音楽学者の細川周平さんからメールをいただく。
「リマ―サンパウロの飛行機ではチリ映画の「BONSÁI」を見た。」
機内上映されるからには話題作なのでは?!ということで9月に翻訳本も出版されていたのでアレハンドロ・サンブラの「盆栽/木々の私生活」を読む。帯にも象徴的な言葉として「ものを書くことは盆栽の世話をすることに似ている」とある。独自の創作の過程を深いところで盆栽と重ねあわせていて、観念的には盆栽の国境は個人単位ですでに関係がなくなってきていることを実感する。好きな作家に川端康成をあげていることからも、かなり盆栽的な方だ。ちなみに2006年、小説第一作であった『盆栽』は大きな反響を呼び、チリ批評家賞、チリ図書協会賞を受賞している。
2011年にクリスチャン・ヒメネス監督により映画化され、カンヌ映画祭「ある視点」部門に正式出品されている。